退職すると、誰もがお世話になるのが、年金と国民健康保険。
在職中は、報酬に応じて、国民・厚生年金の保険料や健康保険料が、給与から天引きされていた。
退職後、年金はいくら貰えるのか、強制加入する国民健康保険にはいくら払うのか。
こうした情報は少なく、退職前にはわからない。
数少ない年金の中から、税金(所得税、住民税)、社会保険料(介護保険料、国民健康保険料)が天引きされる。
固定資産税、マンションの管理費・修繕積立金、光熱水費、娯楽通信費、食費、被服費、医療費など、衣食住や健康維持に消えていく。
65歳を過ぎ、年金満額受給になったが、これまで支払った保険料と貰える年金はどちらが多いのか。 年老いて医療費が増えてくるが、支払う国民健康保険料は妥当なのか。 事例を紹介したい。
●年金
マイナポータルでねんきんネットに連携しておくと、年金記録を確認に簡単できる。 これまでの保険料納付総額(総合計)が記載されている。これを公表するのは差し控えるが、A円としておこう。 A円は数十年間、ボーナスを含め天引きされていた実額で、結構な金額だ。 その金額と同額を、雇用者(事業者)が年金に積み立てているので、私の年金総額はA円の2倍である。 65歳を過ぎて、満額支給される1年間の年金総額をBとする。 この金額は、源泉徴収票が発行されるので明確である。転職で2箇所からもらう場合はその合計金額。 ここで、支払総額2Aを毎年の受給額Bで除するとどうなるか、計算してみた。 2A ÷ B = 15.8年 65歳から15.8年後というと81歳。男性の平均寿命だ。 若者4人で高齢者一人を支えるとか言われると、支払った保険料の4倍の年金をもらっていると誤解するが、それは全く異なる。 81歳まで、自分と会社が支払った金額を受け取っているに過ぎない。 長生きすれば年金の恩恵を受けるが、4人に支えてもらうのは60年後の140歳まで長生きした場合だ。 ●国民健康保険 先月から、国民健康保険に加入することになった。職場の健康保険組合に留まることが出来なくなると、強制加入することになる。 国民健康保険は、市町村が特別会計で運営しており、保険料は、(前年の所得ー基礎控除43万円)*9%弱の所得割と、均等割の合算である。 2ヶ月分の納入通知書から、夫婦で年間約21万円と推計される。 一方、昨年の夫婦で医療費の自己負担額は9万円である。 3割負担なので、医療費総額は30万円。 残りの21万円を健康保険組合が負担していた。 今年の医療費も同額と仮定すると、国民健康保険組合の負担は約21万円で、納付する国民健康保険料と偶然同じだ。3割負担といいながら、保険料を加えると10割負担で、自費診療しているようなものだ。 もっとも、大きな手術では100万円の医療費がかかるが、その9割近くを負担してくれる高額療養費制度があるので、保険制度はありがたい。 年金も国民健康保険も、特別会計で、自己完結で健全に運営してほしい。 特に年金を預かる組織は、機関投資家として預かった保険料をしっかり運用して、若い人の負担にならないよう頑張ってほしい。