ひさしぶりに、山羊が食べたい気持ちがしていた。
だから、後輩から山羊に誘われた時には、即断だった。
「ひんぷん山羊料理店」へ行かなくてはいけないと思った。
台風の影響で天候が荒れていたので電話で確かめると、今日は営業しているという。
オリオンビールで渇いたのどを潤して、山羊刺身をいただく。
山羊の刺身は、100gで1000円の高級品なのだ。
歯ごたえのある皮の部分と、柔らかい肉の部分が併せて出てくる。
ショウガと酢とお醤油でいただくのが、この道55年のおばあの教えだ。
泡盛のボトルは切れていたので、新しいのを頼むと、お店の在庫も切れていた。
おばあのお孫さんが、雨の中、買いに行ってくれた。
おばあの娘さんが、息子を追いかけて、「タクアンも」。
のどかだね。
お孫さんは名護の緑街にあるひんぷん山羊料理の2号店も切り盛りしている。
お孫さんが戻ってきたので、泡盛(くら)と山羊汁と付け合わせのタクアンをいただく。
山羊汁にはショウガが落としてある。酢醤油でいただく。
汁用の肉は、いろんな部位が入っており、1000円でどんぶりにてんこ盛りなのだ。
残念なことに、沖縄でも山羊肉が嫌いな人がいる。
理由を聞くと、山羊特有の臭いがダメという。
不思議だ。
この店の山羊は、全く臭いがしない。
理由を聞くと、「新鮮だから」の一言。
メニューは山羊(刺身、汁、そば)の3種類しかない専門店。
この道55年のあばあが2,3時間かけて脂分やあくを取る手法を確立し、常連さんが多い。
仕上げは、おばあのお勧め、ごはんを加えて雑炊(ジューシー)で、汁も残さずいただく。
おいしかったです。満足です。
ところで、今日は、おばあの姿が見えない。
様子を尋ねると、
「今朝、転んで、骨折して、入院した」という。
1年前と同じですね、というと、「1年前と同じ場所で転び、同じ箇所を骨折した」という。
おばあ、ショックだね。
私も、ショックだよ。
山羊を食べたくなったのは、おばあが、呼んでくれたのだろうか。
お店を取り囲むように再開発の工事が始まっていて、おばあが構えたこの店も、かなり古い。
今年は89歳なのだから、おばあには転ぶことのない、安全なお店が必要だと思う。